高血圧にアルコールと塩分が悪いのは周知の事実です。不幸にも若くして高血圧の宣告を受けてしまった自分は、禁酒及び減塩することを余儀なくされています。当然、ラーメンのスープを飲み干すことなど許されようはずもないのですが…ほとんど飲み干しちゃいました!それだけスープが美味しかった…わけではなく、ただ単にハワイアンラーメンのハワイアンたる所以はこのスープにある、と睨んだからです。
具材はメンマにそぼろ肉やチャーシューで、特にハワイらしいところはありません。
麺もよくあるストレートの細麺でした。
そうなると、残るはスープしかないではありませんか!きっと、このスープにハワイアンの秘密が隠されているに違いない、 と飲んでみたのですが…、全然分かりませんでした、ハイ、味音痴なもので。
ひょっとしたら、すりつぶされたマカダミアナッツの粉が入ってたりするのかもしれませんが、そんなもの気づけるはずがありません。
でも、そのまま帰ってしまうのは、なんだか口惜しかったし、なにより男子面接があったのに、自分を快く送り出してくれた店長に合わせる顔がありません。ヘタレの自分は、なけなしの勇気をふりしぼって、近くでカウンターを拭いている兄ちゃんに聞いてみました。
「あのぅ、いろんな人から聞かれてるとは思うんですけど、このラーメンのどこがハワイアンなんですか?」
すると、兄ちゃんはにっこり笑い、
「あちらの社長が…」
と、カウンター奥の厨房で仕込みをしている、もう一人の若い兄ちゃんを指し示しました。社長と呼ばれた兄ちゃんは、自分の方にぺこりとお辞儀してからとんでもないことを口にしました。
「僕がハワイ大好きなんです」
ハワイが好きだから、店の内装をハワイ風にして、ハワイアンラーメン!
なんということでしょうか?安直すぎて、ゴルチッチもびっくりです。
それでも、自分はあきらめきれずに、
「それじゃあ、ラーメンの味とハワイの関係は…」
「全く関係ありません!」
一刀両断でした。
「はあ、そうですか。でも、おいしかったですよ…、また来ます」
負け惜しみっぽさをにじませながら、自分はハワイから帰国の途についたのでした。
後日、知ったことですが、この社長さんは超有名店「ちゃぶ屋」の出身だそうです。TVでも取材していたと、かずおさんが教えてくれました。