久々に映画「麻雀放浪記」(S59年角川)を観た。イラストレーター和田誠の初監督作品。
阿佐田哲也(色川武大)原作のこの作品は、麻雀を知らない方でも充分楽しめる傑作だ。自分ひとり喰うので精一杯だった戦争直後、バクチでしのぎを削る男たちの話だが、そのギリギリの生き方の中にも性別関係なく人との繋がりの深さと形が垣間見える。
出目徳はコンビ技で次から次へと客をくいつぶしてしのぎ、ドサ健は客を教育して食い扶持を増やそうとする。スタンスは違うように見えるが自分の利をひたすら求めるという点においては一緒のことだ。が、同じバクチで生きている者同士お互いを認め合っている。
私の仕事で言えば、この業界の中で他店を食いつぶしてでも自分のお店を大きくしたいと、時に思う時もあれば、ライバル店出店をむしろ歓迎して、さらに同じ場所でお互いしのぎを削って行ければ、と思う時もある。この業界に身を置くものとして、他のお店に対して商売上の敵対心はあっても、この仕事をしている者として(仲間意識なんて甘い言葉は使いたくないが)認めあって一緒に頑張りたい、という気持ちは自然と生まれたものだ。
良くワカラン話しになりそうなので、映画に戻るとして。とにかく名シーン、名セリフが山盛りのこの作品。無駄な音楽も全く無し。俳優陣の演技も奇跡的なほどに研ぎ澄まされている。一番好きなシーンを一つ挙げるなら真上から撮った場決めのシーンだ。綺麗に組み合わさった牌、順に東南西北と叩きつけられる音。ここからそれぞれの運命がスタートする。何度観ても痺れる。
ということで今日は映画話でオシマイ。
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